2026/03/03
施設ブログ
ルミエール
以前お届けしたきゃべつ栽培ですが、その後どうなったのかをお伝えします
10月に苗を植えた時に企画職員は、うまくいけば12月の終わりから1月の前半には収穫できると話していました
しかし11月頃、5つある苗のほとんどが虫にくわれてしまい、徐々に枯れていく様子がみられました
12月に入ると傍から見るかぎりでは完全に萎れてしまい、残念な結果になったと思えました
そして収穫時期だったはずの12月の終わり、「きゃべつはダメそう?」と企画職員に聞くと、「まだです」と答えが返ってきました。「可能性はあります」
その後も聞くたびに「栄養剤を入れれば」「もう少し様子を見てから」と諦める様子がありません
そうして1月が過ぎ、2月も後半になったある日、葉が紫に変色し、とてもこれからきゃべつになるとは思えない苗をしばらく眺めていました
それからそれまで何度も聞いては同じ答えが返ってきた質問を再度、企画職員に聞きました。「きゃべつはどう?」
しばしの沈黙のあと、企画職員は言いました
「ダメでした」
・・・その言葉を待っていた、正直に言うとそんな気持ちでした
可能性がゼロになるまで諦めない粘り強さとわずかな希望に賭け挑む姿勢、その畑魂とでも呼ぶべき情熱を前に、ただただ頭が下がる思いの4ヶ月でした
最後に、うまく収穫できた時に利用者さんに振る舞われたはずのきゃべつ料理、その世界中のどこにもない幻のきゃべつ料理に思いを馳せ、ご報告の終わりといたします
2026/02/08
施設ブログ
ルミエール
2026/01/28
施設ブログ
ルミエール
ルミエールに初めて訪れたほとんどの人は、なのはな広場と呼ばれる広いスペースの入口正面に設置されている大きなトランポリンに目がいくと思います
またそのトランポリンを上手に乗りこなしている利用者さんの姿を見ることができるでしょう
遊びとしてトランポリンを使いながら、体幹や筋力が鍛えられ、脳の活性化やリラックスなど、QOL向上としての効果も期待できそうです
またその反対側のスペースとお風呂場近くにもトランポリンがあり、特定の利用者さんがゆっくりと身体を上下に揺らせたり、寝転んでくつろぐなど、それぞれの過ごし方をしています
もうひとつ日常的に使われている遊具としてバランスボールがあります
バランスボールに座り、軽く跳ねるような動きを繰り返しその感覚を楽しんでいたり、職員を相手にキャッチボールをし、身体を思い切り使ってコミュニケーションをとるなど、有意義な時間が流れています
施設に入ってすぐ、天井が高く開放感のある空間で、それらの遊具を使った個別レクリエーションのようなことが自然発生的に生まれていることはルミエールの特徴のひとつと言えるかもしれませんね
2025/12/20
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ルミエール
11月、ルミエール利用者さんのメイン外出を行いました。その利用者さんは車椅子に座っていられずに動き回ることが多いため、職員と1対1での外出は難しい状況でした。そこでご家族であるお兄様に相談をさせてもらい、日程を調整し、お兄様同行のもと外出をすることになりました。行き先として、秋を満喫するような行楽としての外出を提案しましたが、お話を進めるうち、お母様に会いに行く、ということになりました
このような機会にお母様に会いに行くことはごく自然なことのようですが、そこには大変な家族の物語がありました
当日の朝、お兄様が施設に迎えに来られ、車に乗り3人で出発しました。車中ではお兄様から、現在に至るまでのご家族のお話を聞きました
小さい頃は兄弟でファミコンでよく遊び、弟さんは思い通りにならないとファミコンを投げ壊すこともあったこと。特性によって一日のほとんどを手をつなぎながら付き添う日々に、母親の心労が大きくなり、心身の不調が現れるようになったこと。弟さんは施設へ入居、そこから養護学校へ通うようになったこと。今から12年ほど前に父親が亡くなり、そこから母親の体調が悪化したこと。そして今、弟さんが大病をすることなくこうして元気にいることを嬉しく思っていることなどのお話をされていました
そういった事情がある中、弟さんが最後にお母様に会ったのはもう10年以上前になるとのことでした
設立からまだ新しい、千葉市美浜区にある特別養護老人ホームが今回の外出先であり、お母様が7年ほど前から過ごされている場所です。建物内は全面ガラス窓から差し込む陽光が明るく、開放感のある空間が広がっています。お兄様が車椅子を押しながらエレベーターを上がり、行き慣れた足取りでお部屋に向かいます
部屋に入るとたくさんのぬいぐるみと、壁に飾られた家族の写真。そこに、お母様がいました。お母様のベッドのそばに、お兄様は弟さんを支えながら近づき、その手をそっとお母様の手に重ねました。そして弟さんの名前を呼びながら「来たよ、ここにいるよ」と何度も、何度も何度も声をかけられました。弟さんのもうひとつの手はお兄様の腕をしっかりと握り、お兄様の左手は弟さんの肩に。言葉では表せない想いが、手から手へ伝わり循環しているかのようでした
認知症を患うお母様は、言葉を発することはありませんが、時折かすかに表情が変わりました。その様子にお兄様は「意思疎通はできていると思います」と言われました。短い期間とはいえ、一日の大半を寄り添い過ごした手の温もりや息づかいの記憶は、お互いの心の奥にそのともしびを残したままだったのではないでしょうか
「もう帰るよ、また来るよ」そうお兄様が言葉をかけるとお母様は、こくん、と頷きました
施設をあとにし、お兄様は「私一人では弟を連れてここまで来ることはできませんでした」と言われていました
今回、ご協力いただいた特別養護老人ホームの皆様に感謝いたしますとともに、施設職員として微力ながらお役に立てたのであれば幸いです