おしらせ

2025/12/20

施設ブログ

ルミエール

ここに、いるよ

11月、ルミエール利用者さんのメイン外出を行いました。その利用者さんは車椅子に座っていられずに動き回ることが多いため、職員と1対1での外出は難しい状況でした。そこでご家族であるお兄様に相談をさせてもらい、日程を調整し、お兄様同行のもと外出をすることになりました。行き先として、秋を満喫するような行楽としての外出を提案しましたが、お話を進めるうち、お母様に会いに行く、ということになりました

 

このような機会にお母様に会いに行くことはごく自然なことのようですが、そこには大変な家族の物語がありました

 

当日の朝、お兄様が施設に迎えに来られ、車に乗り3人で出発しました。車中ではお兄様から、現在に至るまでのご家族のお話を聞きました

 

小さい頃は兄弟でファミコンでよく遊び、弟さんは思い通りにならないとファミコンを投げ壊すこともあったこと。特性によって一日のほとんどを手をつなぎながら付き添う日々に、母親の心労が大きくなり、心身の不調が現れるようになったこと。弟さんは施設へ入居、そこから養護学校へ通うようになったこと。今から12年ほど前に父親が亡くなり、そこから母親の体調が悪化したこと。そして今、弟さんが大病をすることなくこうして元気にいることを嬉しく思っていることなどのお話をされていました

そういった事情がある中、弟さんが最後にお母様に会ったのはもう10年以上前になるとのことでした設立からまだ新しい、千葉市美浜区にある特別養護老人ホームが今回の外出先であり、お母様が7年ほど前から過ごされている場所です。建物内は全面ガラス窓から差し込む陽光が明るく、開放感のある空間が広がっています。お兄様が車椅子を押しながらエレベーターを上がり、行き慣れた足取りでお部屋に向かいます

 

部屋に入るとたくさんのぬいぐるみと、壁に飾られた家族の写真。そこに、お母様がいました。お母様のベッドのそばに、お兄様は弟さんを支えながら近づき、その手をそっとお母様の手に重ねました。そして弟さんの名前を呼びながら「来たよ、ここにいるよ」と何度も、何度も何度も声をかけられました。弟さんのもうひとつの手はお兄様の腕をしっかりと握り、お兄様の左手は弟さんの肩に。言葉では表せない想いが、手から手へ伝わり循環しているかのようでした

認知症を患うお母様は、言葉を発することはありませんが、時折かすかに表情が変わりました。その様子にお兄様は「意思疎通はできていると思います」と言われました。短い期間とはいえ、一日の大半を寄り添い過ごした手の温もりや息づかいの記憶は、お互いの心の奥にそのともしびを残したままだったのではないでしょうか

 

「もう帰るよ、また来るよ」そうお兄様が言葉をかけるとお母様は、こくん、と頷きました

 

施設をあとにし、お兄様は「私一人では弟を連れてここまで来ることはできませんでした」と言われていました

 

今回、ご協力いただいた特別養護老人ホームの皆様に感謝いたしますとともに、施設職員として微力ながらお役に立てたのであれば幸いです

2025/12/01

施設ブログ

ルミエール

♨お風呂に浸かれるようになりました♨

JKAからの補助金を受けて、10月12日に介護浴槽「スカイコート」を導入しました。

導入前は、浴槽に浸かることが難しい利用者はミスト浴を使用しており、霧状のシャワーで身体を温めることはできましたが、お風呂に入る満足度は低く感じられました。

スカイコートを導入したことで安全に浴槽へ浸かることができ、気持ちよさそうな表情をされている様子を見ていると、しっかりとお湯に浸かり身体を温めることの大切さを感じました。

今後も利用者が満足して入浴ができる環境を整えていきたいと思います。

2025/11/30

施設ブログ

ルミエール

歌うように

「ホットケーキ~」

 

「あったかいコーヒ~」

 

ルミエールのある利用者さんは気分の良い時などに歌うような口調でいくつかの言葉を話します。その他には

 

「おみそ汁~」

 

「おさか~な~」

 

というフレーズも好んで口にしています

 

ベテラン職員に聞くと昔から、出会った頃にはすでにそれらの言葉を言っていた、とのことでした

 

その食べ物が特別に好き、それを食べた思い出が忘れられない、または言葉の語感が気に入っている、あるいはコミュニケーションツールの言葉として発している、など様々に理由が考えられます

 

しかしともあれ11月のヘレンホーム食事会は「ホットケーキ」と「あったかいコーヒー」をみんなで食べようと思い、それに合わせたメインディッシュにオムライスを選び、洋風ランチとしてお楽しみいただきました

 

ささやかなおもてなしの思いを込め行った食事会で、みなさんのこころが「あったかいきもち~」になれたでしょうか

 

 

2025/10/28

施設ブログ

ルミエール

試練のきゃべつ栽培

ルミエール菜園では夏のミニトマトに続き、次の植物の栽培がもう始まっています

 

今回はなにを育てるのか企画職員に聞くと、きゃべつと答えが返ってきました

 

きゃべつ。

 

きゃべつというと、見渡す限り一面に広がる―少なくとも野球場くらいの―土地で作るものだと思っていましたが、聞いてみると家庭菜園などでも栽培ができるということです。全然知りませんでした。きゃべつ。

 

ただ、栽培をするには比較的難易度は高く、今回はチャレンジングな気持ちもあるそうです

 

実際、初めに7つの苗を植え、ひとつひとつ大事にネットを被せていましたが、しばらくすると2つの苗が虫に食われてしまいました

残り5つになった苗に利用者さんと一緒にせっせと水やりをしています

企画職員によると、今回きゃべつを選んだ理由には、無事収穫できたきゃべつをどう料理して利用者さんに美味しく食べていただこうか、と考える楽しみもあるからだそうです

 

みなさんは丹精込めて育てたきゃべつをどのようにいただくと1番美味しいと思われるでしょうか

 

はたしていくつのきゃべつが無事に育ち、どう食べたのか、そのご報告はいずれまた...

2025/09/28

施設ブログ

ルミエール

矢のようにストレート

8月のメイン外出では、ルミエールの利用者さんが、君津市にあるサービス付き高齢者向け住宅で暮らしている弟さんに会いに出かけました

 

高速道路に乗り1時間ほどで到着。住宅は君津市を一望できる高台にあり、周辺は自然に囲まれています

 

さっそく弟さんのもとへ向かうと、清潔に保たれたお部屋があり、窓からは鮮やかな緑が見えました

 

弟さんと対面。素敵な笑顔で迎えてくれました

テーブルで写真アルバムを見ながら昔話に花を咲かせ、施設で出る食事をごちそうになり、お茶を飲みながら「NHKのど自慢」を観てゆっくりと過ごされました

 

帰る時間になると弟さんが玄関先で名残惜しそうに手を振ってお見送りされ、帰路につきました

帰りの車中では、余韻に浸るように静かに目を閉じていました

 

同じ千葉県内とはいえ、君津まではそう気軽に行ける距離でもありません。今回はメイン外出という1人の利用者さんの望んでいることを汲み取り企画を立てるコンセプトに即し実現できたことでした

 

弟に会いに行く。たとえそこがどこであろうと、きっと利用者さんにとってその道のりは遠くでも近くでもなく、坂道も曲がり角もない、ただ真っ直ぐに、矢のように一直線に見つめたその先にあるのではないでしょうか

 

この日が利用者さんにとって特別な一日となったのだとしたら、職員としても嬉しく思います

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