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世相認知度46%

2014年12月15日

今年もまた1年を振り返る時期になった。
例によって「新語・流行語大賞」も決まった。
それに先立って、11月19日に「ノミネート50語」が発表された。

バックビルディング、トリクルダウン、家事ハラ、ありのままで、こぴっと、リトル本田、マイルドヤンキー、JKビジネス、マウンティング(女子)、女装子、まさ土、レリゴー、ごきげんよう、J婚、タモロス、リベンジポルノ、絶景、ゆづ、塩対応、こじらせ女子、ワンオペ、ミドリムシ、昼顔、ビットコイン、壁ドン、壊憲記念日、塩レモン…以上27語が私のハテナ語。
少し考えてみても見当さえつかない。
「こんなことばも知らないのか」と、私のアタマの中を覗かれているようでもある。

ちなみに理解できたのは、輝く女性、STAP細胞はあります、デング熱、ダメよ~ダメダメ、2025年問題、危険ドラッグ、アイス・バケツ・チャレンジ、マタハラ、ゴーストライター、レジェンド、妖怪ウォッチ、号泣会見、セクハラやじ、集団的自衛権、限定容認、積極的平和主義、勝てない相手はもういない、カープ女子、ハーフハーフ、消滅可能性都市、イスラム国、雨傘革命、エボラ出血熱、の23語であった。
いまの世相を46%しか理解できていないことに唖然としつつも、「このトシだとそんなもんだろう」などと開き直ってみる。知らないゆえの負け惜しみではない。
この50語が「常識の尺度」だとしても、知っていようがいまいがさしたる問題ではないと、笑って済まされるトシなのである。

とはいっても、まだ自分が隅っこのほうでぶら下がっている業界事情になると、そうも言っていられない。
私の周辺で頻繁に見かける新語はやはり気になる。
例えば「地域包括ケアシステム」、「社会福祉法人の私物化」、「内部留保」、「非営利ホールディングカンパニー型法人」などである。
考えてみると、30~40年特定の分野で仕事をするということは、次々に出てくる意味不明の用語(その多くはカタカナ語であった)を理解していくことでもあったと、つくづく思う。
経済成長やグローバリゼーション、IT・デジタル社会という時代を経験してきたわれわれである。
おそらく、過去のどの世代よりも、ずっと多くの新語を理解することを求められてきたに違いない。

ただそう回顧する反面で、かつて仰ぎ見ていた年代に自分がさしかかり、つくづくこうも思う。
新語や流行語に関心が向いていた分、過去の名言名句、故事格言などの知識がいかに乏しくなっているか、と。
文字を書かない、読まない、話さないとなれば、語彙(ことばの種類)は貧しくなる一方だ。
前の世代に比べてその点でコンプレックスを感じている私だから、スマホをもてあそぶキミたちは大丈夫かと、老婆心もつい口に出る。

シャボン玉のようにあっという間に消えてなくなる運命のはやりことばである。
そうとはわかっているが、なぜか気になる「新語・流行語」である。
知りたいとも思わないそれらの中に「壊憲記念日」というのがあった。
聞いただけなら「カイケン」→「改憲」となって、ああ集団的自衛権容認閣議決定のことか、と思う。
しかしもうひとひねりある。カイ憲のカイが破壊の「壊」なのである。
社会学者・上野千鶴子が、安倍首相の憲法解釈変更を批判して命名したそうだ。

「憲法を解釈だけで変えられる、だから7月1日は『壊憲』記念日」

もちろん、俵万智「サラダ記念日」のパロディ短歌である。

(法澤 奉典・のりざわ とものり)

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